秋の田の
仮庵(かりほ)の庵(いほ)の
苫(とま)をあらみ
わが衣手(ころもで)
は露にぬれつつ
小倉百人一首の1番。天智天皇の歌である。
京都亀岡は今稲刈りのシーズンである。
この時期は、稲穂の独特のにおいがする。
匂いというのはタイムマシーンである。
一瞬にして、その匂いがしたシーンを脳裏にフラッシュバックさせる。
秋の刈入を終えた籾の袋をいっぱい積んだ台車を、耕運機で引っ張ってあぜ道を帰路につく夕方。
荷物の上に寝そべり、顔面いっぱいに広がる高い秋の雲を見ると、
雄大な気持ちになると同時に、なぜかうら悲しい気分になったものだ。
夏の空はエネルギッシュでたくましいが、秋の空は、雲も自分の家に帰っていくような、誰もいなくなるようなそんな気がした。
あの雲は、どこにかえるのだろう。あの雲はひとりぼっちではないのかしら・・・・
あなたも、せかせか歩く歩みを止めて、遠い思い出の中にあるような、秋のワンシーンに思いをはせてみるのもいいかもしれない。